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第12回産学連携講座の再録

「創造する伝統 “OKI:TONKORI”」

■日時:2007年12月22日(土) 18:30~20:30
■場所:「ミールラウンジ」(札幌市中央区南3条西2)

アイヌ音楽にダブ~レゲエ、アフリカ音楽など世界のルーツ音楽を織り込んだ斬新なサウンド作りで、今世界的に注目を集める、アイヌの血を引くOKI氏。彼はカラフト・アイヌの伝統弦楽器「トンコリ」の第一人者として奏でるとともに、安東ウメ子のアルバム制作ではアイヌの伝統歌“ウポポ”の普及をプロデュースするなど、アイヌ音楽の魅力を伝道者として国内外に知らしめてきた稀有なミュージシャン/プロデューサーである。第12回目の講座は「創造する伝統」をテーマに、OKI、MAREWREW 内田直之氏によるライブセッションを行い、そのボーダレスな音楽性がアイヌ文化の伝承に留まらず、世界の音楽潮流にあらたな創造性をもたらしていることを参加者が一体となって感じた。
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出演者プロフィール

OKI(オキ):
日本のアイヌ民族出身のミュージシャン、アーティスト。チカルスタジオ所属。アイヌの民族楽器であるトンコリ(五弦琴)を用いて、アイヌの伝統音楽とレゲエ、DUBなどを織り交ぜた作品を発表している。特に海外から高く注目され、ソロおよび自らの率いる「OKI DUB AINU BAND」で、過去はシンガポール、イギリス・アイルランド・ノルウェー・スペイン・ドイツ・ポルトガル・台湾等でのツアー公演を行っている。2月にはワシントン@ケネディ・センターでの公演が決定しており、さらにグローバルな活躍が期待される。
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MAREWREW(マレウレウ):
旭川と阿寒出身のアイヌの女性4人組グループ。アイヌの歌「ウポポ」、輪唱の「ウコウク」、伝統舞踊などを披露する。マレウレウは日本語で蝶々の意。
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内田直之:
日本のDUBエンジニアの第一人者。このライブのためにわざわざ東京から駆けつけてくれた。OKI氏のトンコリ、MAREWREWの輪唱は、DUB技術によってさらに独特のグルーブ感が引き出されている。

演奏曲目
1:「スマ カーペカ イレクテ(SUMA KAPEKA IREKTE)」(OKI)
樺太の東海岸に伝わる古い伝統曲。引き潮で顔を出す岩礁の上を飛びながら獲物であるアザラシを狩る様子を描いた曲。

2:「ウコウク(UKOUK)」(MAREWREW)
アサンカラ・コタン(旭川)に伝わる歌。旭川の語源はアイヌが昔、アサンカラ・コタン(萱の生い茂る村という意)と言ったことにある。「朝日が昇る川」ではない。OKI氏の先祖もオタス(小樽)から長い月日をかけて川づたいに移住を続け、そしてアサンカラにたどり着いたらしい。

3:「ウチャオレイレッテ(UCHAORE IREKTE)」(OKI)
2人の男が議論する様子をトンコリで表現した曲。

4:「へレカン・ホー(踊り有り)」(MAREWREW)
_DSF7157.jpg 5:「ポン レプン カムイ」(MAREWREW)
ポン・レプン・カムイは、海のシャチの小さい神の意。海の無い旭川に伝わる歌。海の無い旭川で、海のシャチが神として、唄として祭られているのは、遠い祖先の海の記憶が残されているからか。

6:「ウオサー」(MAREWREW)

7:「ムックリ ハゥエヘ」(OKI:ムックリ使用)
_DSF7181.jpg 8:「フッタレチュイ(踊り有り)」(MAREWREW)
松の木が風に揺れている様子を女性たちが長い黒髪を大きく揺らして踊る曲。かなり激しい踊りで、昔は最後の一人になるまで誰が踊り続けられるかを競ったという曲。
_DSF7170.jpg 9:「トパットゥミ」(OKI)
「ある日、突然北海道に泥棒がやってきて、北海道アイヌの持つ山・川を奪ったことは、本当に納得できない出来事であると、昔のそのまた前の前のエカシ(長老)は語ったもの・・・。昔のそのまた前の前の前の爺さんはまたこのように語った・・・。先祖を忘れる者は、根っこの無い木と同じであると・・・。昔のそのまた前の前の前の婆さんはこのように語った。アイヌの気持ちは、水が流れ去るように消えるものでは無いと・・・。」※冒頭のみOKI氏の和訳有り。


武邑教授との対話

武邑:OKIさんの曲とは半年ほど前に出会いました。アイヌと日本全域の遥か昔からの深く一体的なつながり、そしてDUBを駆使した多様性にあふれる音楽に触れて、とても大きな衝撃を受けました。OKIさんの音楽は聴く人に、「日本人とは何か」を考える機会を与えてくれます。

OKI:自分は「アイヌ人」ですが、でも考えてみると、世界に混り気の無い「○○人」っているんでしょうか?今日、会場にいるみなさんも、縄文人のようにも見えるし、朝鮮人やロシア人の血が混じっているように見える人もいます。そして、「それでいいんだよ」というのが僕のスタンスです。だから自分の音楽でも、ことさらアイヌがどうだって強調する気はないんです。見せなきゃいけないと思っているのは、たった5弦しかないトンコリとサビも転調も無いループするアイヌの歌声。考えも生まれも何もかも違うのが人間で、価値観の違いを知りつつ、お互いに侵さずに生きていけばいいと考えています。だから、僕の音楽をハッピーに感じてくれる人がいる限り、これからも音楽活動を続けていきたいです。
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武邑:トンコリとの出会いは?

OKI:20代も終わりぐらいの頃に、僕はニューヨークで映像の仕事をしていました。そこに日本の大手広告代理店から映画の大きなオファーがあって、日本に戻ったのですが、プロデューサーが夜逃げするなどして、その映画プロジェクトは頓挫してしまったんです。仕事が全然無くなってしょうがなくなってしまった僕は、中途半端な気持ちのまま、自分のルーツである旭川にいったん戻りました。そして、親戚の川村カ子トアイヌ記念館(旭川)で酒宴を開いている時、僕にトンコリが放り投げて渡され、そして、川村カ子トアイヌ記念館長が「一人ぐらいトンコリで暴れるアイヌがいてもいい」と言ったんです。それが約10年前のトンコリを奏でることになったきっかけです。

武邑:OKIさんから見て「グローバリズム」とは?

OKI:政治家が使っている「グローバリズム」という言葉に騙されてはいけません。彼らが使う「グローバリズム」に僕も一瞬期待しましたが、結局、世の中は富める者が富み、持つ者と持たざる者の差がさらに広がっていくひどい有り様です。不正な金儲けをする奴がいる限り、人を殺めたり、物を盗んだり、子供を虐待したりする奴は、いなくなりません。これから、皆がやらなくてはいけないことは、自分のテーマを満たすために何事も経験すること。それはテレビなどのマスメディアにはなくて、自分の中にあるものです。みんなそれぞれ形は違うだろうけど、僕には同じ大きな目的、簡単な言葉で言うとしたら「ピース&ラブ」、に向かっているように感じます。
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